ほとんどらんちゅうの仔引き経験がない 金魚一道 U による 冬眠明けから品評会エントリーまでの戦いの記録。
本作は、これまでのライカ製機械式時計と異なりスイスメイドで製作され、ジャン-フランソワ・モジョン氏率いる、クロノード社と共同開発した自動巻きムーブメントLA-3001(C102ベース)を搭載する。外装デザインはウェッツラーに本拠地を構えるエルンスト・ライツ・ヴェルクシュタッテン(ライカの時計製造を担う関連会社。本社が位置するライツパーク内にある)が担当し、ステンレススティールとグレード5チタンをそれぞれ採用したケースと、インターチェンジャブルストラップが特徴。
ライカカメラと同様、実用的であるかどうか、使用・着用感が心地よいかどうかにこだわられた本作は、フラッグシップとなるブレスレットの出来はもちろん、ラバーとコーデュラナイロンのストラップにも工夫がなされた。一体型ブレスレットを備えた時計は、ラグの形状が特殊であることが多く、換装したストラップでは手首への収まりに難があるものも少なくないが、ベースとなるラバーに高い柔軟性をもたせ(コーデュラストラップもベースをラバーとして、巻き付けた構造)て、ラグ形状による制限を緩和した。
ロレックススーパーコピー本作はケース径41mm、13mm厚と現代においては標準的なサイズながら、ラグからラグの長さが46.5mm(筆者実測)とかなりコンパクトな点が特徴だ。これは日本人の細腕にも収まる可能性が高く、つけ心地に配慮した結果だと思う(なお、41mmというサイズは、顧客や欧州の時計愛好家からの声を反映した結果、最も要望が多かった値だそうだ)。
日本円の価格はまだ発表されていないが、ユーロでの希望小売価格を見ると、ステンレスモデルであれば100万円程度で展開されることが予想され(来週価格がお知らせできそうだ)、前作のZM 1、ZM 2からするとかなりアフォーダブルなプライスタグだ。ライカはこのZM11を、自社が単なるカメラメーカーとしてではなくブランドとしてやるべきこと、と位置づけている。それは、ライカオーナーに時計愛好家も多いことを想像させるが、彼らがライカとともに実用し、日常的につけられる時計をついに作ったということだと思う。
世界の一部ライカストアにて11月末に販売が開始され、その後ほかのライカストアでも徐々に展開がスタートする。
ファースト・インプレッション
僕は今回、幸運にもウェッツラーのライカ本社に招かれ、ライカZM11のワールドプレミアに参加することができた。本作のカンファレンスで、時計全体のクリエイティブを束ねるマーカス・アイリンガー氏(Marcus Eilinger)はこの時計をライカのふたつめの柱としたいと語った。もちろん、ひとつめの柱は2022年に発売されたライカ ZM 1/ZM 2であり、こちらはドイツの独立系マイクロブランドであるレーマン・プレシジョン社(Lehmann Präzision GmbH)との提携で実現し、Made in Germanyにこだわられた少量生産(年産数十本との噂)のモデル。いわばライカの哲学を体現したような時計なのだが、ライカZM11は、同社の実用品メーカーとしての側面を表現した時計なのだと思う。
「ライカZM11では、ライカが何を考え何を持っているかをお伝えしたいと考えました。我々の時計がどうあるべきか、ドイツらしさというものを加味してライカのヘリテージを時計のデザインにいかに落とし込むか。これらのことをマーカスが取りまとめて、ZM 11のデザインにまとめ上げました。彼は、これまでのキャリアのなかで非常に多くのブランドのことや、ドイツのリテーラーのことまで熟知しているわけで、今回それはとてもうまくいったと思います」
マーカス氏といえば、多くのブランドで社外デザイナーを務めた経験をもち、直近ではH.モーザーでストリームライナーを手がけた。なるほど、ZM11のブレスレットがピッチの短いコマで滑らかなつくりをしている点も合点がいく。ブルガリのオクト フィニッシモにしてもそうだが、ある程度のケースサイズの時計に対しては、コマピッチが短く手首に沿うようなブレスレットは高い着用感を叶えてくれる。ブレスレットモデル以外については、インターチェンジャブル用メタルパーツをラバー部分に、ヴァルカナイズド・インジェクションと呼ぶ手法でモールド。ケース部分とのシームレスな接合を実現していた。なお、ラグ幅は22mmとそれなりに広く取られているが、ベゼルレスのケースと相まってメリハリの効いたよいデザインだと感じた。
はたして、こうしたいつものレビューを書いてきたが、どれほどの人が心を動かされただろう。僕が本稿で伝えるべきなのはライカがいかに情熱を持ってこの時計を作り上げたかということかもしれない。
これらのワードを、社主であるアンドレアス・カウフマン氏は残した。ライカは時計メーカーになろうとしているわけではなく、純粋にライカ製品のバリエーションを拡充すべく、その対象に機械式時計を選択した。なぜなら、ブランドとしてユニークであろうとするライカのスピリットを、腕時計は体現してくれるものだからである。そんなことを、会期中に行われたカンファレンスやインタビューで、スポークスマンの皆さんが口々に語った。しかも、創業家のひとりであるエルンスト・ライツ2世がそもそもウォッチメーカーであったブランドヒストリーも、この会社が時計を作る必然のひとつとして起因するのだ。もちろん、カメラにおける存在感とは異なるだろうけれど、ライカウォッチは、たしかに独自のアプローチで他にないクラフツマンシップを込めた時計なのである。
基本情報
ブランド: ライカ(Leica)
モデル名: ライカZM 11
型番:ZM 11
直径: 41mm
厚さ: 13mm
ラグtoラグ:46.5mm
ケース素材: ステンレススティール、チタン
文字盤色: ブラック&レッド、コーヒーブラック、ブルー
インデックス: バー
夜光: あり
防水性能: 10気圧
ストラップ/ブレスレット:ケース素材に合わせたSSまたはチタン製ブレスレット、ラバー、コーデュラ(いずれもインターチェンジャブル)
ムーブメント情報
キャリバー:ライカLA-3001(クロノード社との共同開発)
機構: 時、分、秒、日付表示
直径: 30.40mm
パワーリザーブ: 60時間
巻き上げ方式: 自動巻き
振動数: 2万8800振動/時(4Hz)
石数: 35
クロノメーター認定: なし
追加情報:日差-4〜+6秒(5姿勢で評価)
価格 & 発売時期
価格: TBD
発売時期:11月末
限定:Titanium Launch Editionは世界限定250本
パネライにはリサイクル素材のeスティールがあるし、オリスは再生プラスチック製ダイヤルを使用している(サステナビリティレポートを通じた透明性のなど、ほかにも多くの環境プロジェクトを推進している)。さらに環境問題だけでなく、ショパールのようなブランドはリサイクル素材を含む、“責任ある調達を持って採掘されたゴールド”を使用しているのを目にすることもある。さらにタグ・ホイヤーは、ラボグロウンダイヤモンドを大胆に使った時計を発表しているが、おそらくその技術を取り入れなければ製造できなかっただろう。これは環境にとっていいだけではなく、ビジネスにとってもいいことだ。
本日発表された、環境に配慮した時計ブランド、アイディー・ジュネーブ(ID Genève)による200万スイスフラン(日本円で約3億2990万円)のシードラウンド(資金調達)は、小規模なブランドが時計業界をよりよい環境活動へと押し上げる上で大きな影響を与えることを示しているかもしれない。俳優であり、気候変動活動家のレオナルド・ディカプリオ(Leonardo DiCaprio)氏が関与していることも、注目されることは間違いない。
アイディー・ジュネーブは、パネライスーパーコピー優良サイト気候変動や社会環境への影響を懸念し、その価値観や原則を反映した時計を作ることを目的として、2020年12月にスタート。CEOのニコラ・フロイディガー(Nicolas Freudiger)氏、COOのセドリック・ムルハウザー(Céderic Mulhauser)氏、デザイナーのシンガル・デペリー(Singal Depery)氏の、3人の友人によって設立された。ブランドを設立してから、その後よりよい気候変動志向の実践を追求するのではなく、彼らの目標は最初から組み込まれている。
Co-founders of ID Genève
アイディー・ジュネーブ、共同設立者の3人。
ブランドにはウォッチメイキングの実力もある。ムルハウザー氏が14歳のとき、ヴァシュロン・コンスタンタンの最年少見習いのひとりに選ばれ、24歳まで、ブランドで急速に出世をしていく。一方、フロイディガー氏がウォッチメイキングに夢中になったのもほぼ同時期だったが、当初はビジネスとホスピタリティに専念するべく、別の道を歩んだ。それでもふたりは、最終的には自分たちでブランドを立ち上げ、ムルハウザー氏が時計づくり、フロイディガー氏がビジネス面を担当すると心に決めていた。ある年、ふたりはバーゼルワールドの路地で、将来ブランドのアーティスト兼デザイナーとなるデペリー氏と出会う。彼のエコなライフスタイルがフロイディガー氏に刺激を与え、そこから歯車が回り始める。
2019年、フロイディガー氏はコカ・コーラ社を辞め、ムルハウザー氏に夢の実現を持ちかけた。少々説得が必要だったが、デペリー氏が自身の信念を持ったブランドを作るために後押ししてくれたこともあり、最終的にアイディー・ジュネーブが誕生した。アイディー・ジュネーブは、最終消費者につながる出発点を持つ製品ラインに焦点を当てるのではなく、たとえ小さな行動から始めたとしても、時計経済を循環型経済へと変えることを望んでいる。
フロイディガー氏は2021年にディカプリオ氏と仕事をすると目標を掲げる。気候変動に関しては時間が重要であるため、今後3年以内に実現しなければならないと自らに言い聞かせていたのだという。それは先見の明のある決断であり、幸運なことにフロイディガー氏が目標とした時間内に結実した。2023年7月、ハリウッドのコンサルタント会社、ナショナル・リサーチグループがアメリカ在住者1500人を対象に実施した世論調査によると、ディカプリオ氏はグレタ・トゥーンベリ(Greta Thunberg)氏、アル・ゴア(Al Gore)氏、ザ・ロック(ドウェイン・ジョンソン、Dwayne Johnson)を抑えて、気候危機に関して最も信頼される有名な権威になったと結果が示していた。
ID Genève Circular 1
オリジナルのIアイディー・ジュネーブ サーキュラー1。
ディカプリオ氏の実績は、キャリアの初期にまで遡る。1998年、ディカプリオは24歳のときにホワイトハウスを訪れ、当時の副大統領アル・ゴア氏と会談し、気候変動や地球温暖化について話し合った。これは彼の活動にとってとても重要な瞬間だった。同年、ディカプリオ氏は地球最後の原生地域の保護に焦点を当てた自身の財団を設立。同財団から資金提供を受けているプログラムには、助成金交付、公共キャンペーン、メディアプロジェクトなどがある。
2014年、国連事務総長は2014年の気候サミットを前にして、ディカプリオ氏を気候変動に、特別に焦点を当てたピース・メッセンジャーに指名した。ディカプリオ氏は同ブランドが発表したコメントのなかで、次のように述べている。「一貫して革新を続け、循環型経済の原則に重点を置くことで、ラグジュアリー業界だけでなく、そのほかの業界にも変化をもたらしているブランドであるアイディー・ジュネーブに投資できることを、うれしく思います」
Leonardo DiCaprio
“サーキュラーS”を着用する、レオナルド・ディカプリオ氏。
最近行われた200万スイスフラン(日本円で約3億2990万円)の資金調達ラウンドは、ディカプリオ氏や複数のスイスファミリー・オフィスが関与する、Cape Capitalが率いたプロジェクトであり、2022年のスイス時計産業からの輸出総額である237億スイスフラン(日本円で約3兆9085億6370万円)に比べれば、ほんのひと握りに過ぎない。しかし、たとえそれが大きな計画のなかでは少額であったとしても、小さな変化は大きな影響をもたらすとフロイディガー氏は考えている。
「10人の完璧な人よりも、生活を改善して少しずつ影響を与えたいと思っている何百万人もの人がいるほうがいいです。私たちは皆、自分自身、レオも、皆も、よりよい環境になりたいと思っていますが、誰もが自分自身の矛盾を抱えています。そして最も重要なのは、今影響を与えるために私たちが行う小さなことです。というのも、残された時間はわずかであり、より大きな効果を与えたいのであれば、今後5年から10年のあいだにそう実現すべき必要があるからです」
The Circular S
アイディー・ジュネーブ サーキュラーS。
アイディー・ジュネーブが最近リリースしたサーキュラーSは、100%リサイクルされたSSケースに収められた、6種類のダイヤルバリエーションと、売れ残りの在庫から調達したスイス製のETA 2824自動巻きムーブメントを改装したものである。ETA 2824を選んだ理由は、単に売れ残っていたエボーシュムーブメントだからではなく、世界中で最も修理しやすいムーブメントのひとつだからだ。これにより、いつか時計が機能しなくなった場合、捨てられてしまうという無駄を減らすことを期待している。
Solar furnace
フランス、モン=ルイにある太陽熱炉。
41mm径×9.65mm厚、50m防水のケースは、単なるリサイクルSSではない。このSSはフランスのモン=ルイにある太陽熱炉で溶かされている。その太陽熱炉を使用することで、炭素の影響を、業界平均の4441スチールの165分の1にまで減らすことができる。つまりCO2換算6.8kgに対し、0.041kg相当ということになる。この太陽熱炉は、新型サーキュラーSのデザイン言語にもインスピレーションを与えており、サンバースト仕上げのベゼルとサンバースト仕上げの文字盤、そして一般的な文字盤よりも混沌としたソーラー効果を与えるレーザー彫刻が施されている。ストラップは100%植物由来で、ブランドのパッケージと同様に堆肥化が可能。またケースは、フルーテッドタイプとスムースタイプを用意している。
Circular S
サーキュラーSの詳細については、アイディー・ジュネーブの公式ウェブサイトで確認できる。実際に時計を見たことはないが、サイズ感は快適そうだ。4380スイスフラン(日本円で約72万2000円)という価格は、同じようなスペックで市場に出回っている、ほかの選択肢と比較すると高く感じられるが、やはり市場に出回っているほかのブランドはアイディー・ジュネーブと同じような取り組みをしていないため、比較するのは難しい。どちらかといえば、これは“自分の言葉を行動で証明する、言葉だけでなく行動で示している”ように思える。高級時計にはエゴの部分があり、持続可能な商品の持続可能性および入手のしやすさは、そのエゴを満たす独占性と相反していると、フロイディガー氏は認めている。これは彼らが克服しようとしている課題であり、ひとつにはラグジュアリーとは品質であり、単なる高級品ではないということを示すために、可能な限り最高の製品を作ろうとしているのだ。
フロイディガー氏との1時間に及ぶ会話を終えたとき、私はチームが時計に誇りを持っているのと同様に、製品そのものは、製品を使って業界をよりよい方向に向かわせたいという真の情熱に比べれば、後回しになるのではないかという印象を持った。
「世界で販売されている1000スイスフラン(日本円で約16万5000円)以上の時計の95%がスイス製であるため、スイス製時計の責任は非常に大きいです」 とフロイディガー氏は語った。「スイス製の時計の話をするとき、最初に何が頭に浮かびますか? と問います。彼らの答えは品質、贅沢、エリート主義であり、スイスの山々やチョコレート、時にはプライベート・バンキングについても触れます。5年後、10年後の私の目標は、人々が経済の変遷期について話し、業界全体として私たちには一体何ができるのかと語ることです」
「私のビジョンは、ラグジュアリー産業をエコロジー転換の中心に置くことです」 と、続けてフロイディガー氏。「私たちだけの問題ではありません。私は今年、多くの時間をほかのブランドと一緒に過ごして、意識改革を求めました。私はそれをリードしているのではなく、ただその一部であり、座って彼らと共同創造しているに過ぎません。なぜなら持続可能性の話題においては、私たちは競争相手ではなく、私たち全員が生態系転換の中心にいるのですから」
世代を超えて愛されてきた”とも書かれている。パテック フィリップ自身によるものだけでなく、多くの実績あるステートメントがパテック フィリップを賞賛するために用いている。それはこれまでに作られた時計のなかで、最も規範的なもののひとつだ。カラトラバである。
20世紀、ほぼすべての時計ブランドは、シンプルな針・インデックスだけを備えたラウンド型の時刻表示のみの腕時計を生産していた。カラトラバを作ったと主張できるのは1ブランドだけだ。パテックは公式で、1985年までカラトラバの名前を主張していなかったが、現在最初のモデルだと考えられているRef.96は1932年に発表された。この名前はもちろん、パテックのカラトラバ十字のロゴを意味している。1950年代から1960年代にかけて、ブランドがこのロゴをリューズやムーブメントに装飾し始めたとき、この十字架は控えめでエレガントなリファレンスに映える、特別な要素のひとつだった。
ここまではあなたもよく知っているRef.96の概要だ。リシャールミルスーパーコピー代引き 激安それとRef.565も、そしてRef.2526も知っているはずだ。知らなくとも、数字はどこかで聞いたことがあるはずだ。Talking Watchesの最中、薄暗いバーでネグローニを飲みながら地元の時計愛好家と話すとき、そしてディーラーと電話をしたら“ああ”と言ってうなずいてくれたり。
A Patek reference 2526
今ではパテックのカラトラバコレクションと考えられているものには無数のリファレンスがあるが(いや、かなり簡単に数えられるかも)、十分な愛情を注がれていない、あるいはまったく愛されていないといつも感じてきた。アイコンと“Amagnetic”(通称Aマグ)の文字以外、ヴィンテージパテックカラトラバの世界を研究するのは難しい。珠玉のコレクションがあるにもかかわらず、ウォッチコミュニティからは単に“素敵なヴィンテージパテック”と大まかに評価されているものが多い。
ここでは、私が自信を持って“あまり知られていない”と言える、7つのヴィンテージパテックカラトラバのリファレンスと、それらを記憶する価値があると考えている理由について、紹介する。
これらのリファレンスをHODINKEE内で検索すると、ほとんど“一致する結果が見つかりませんでした”と表示される。まあ、今日からは違う。
Ref.2533(1952年~1956年製造)
A Patek reference 2533
イエローゴールド製で、針とインデックスに夜光塗料が塗布されている。Image courtesy of Collectability.
まず時系列順に見ていくと、最初のカラトラバはRef.2533である。565や2508ではなく、フランソワ・ボーゲル(Taubert&Fils)製のケースでないという点で注目される2533は、防水加工がされた初期のカラトラバのラインナップのなかでは忘れられた存在である。
先に言っておくが、これが珍しい時計であることは知っている。YG製で300本、ローズゴールド製で100本の計約400本が製造されたと推定されている。今回のリストに載っている時計のなかでも、これは最も見つけるのが難しいもののひとつになる。なおRef.2533の兄弟モデルである2532はスモールセコンドを搭載しており、生産本数は2533よりプラス200本程度。我々は合計600本ほどの個体をハントできるというわけだ
スペック面では、2533のケースは直径34.5mm、ル・ロックルのシャルル・デュボアによって製造された。ケースデザインは565と同様、手にしたとき、そして腕にしたときに感じられる独特のずっしり感がある。より全面的にふっくらとしたラグ形状は、特にポリッシュ仕上げが施されていないケースに立体感を与える。
A Patek reference 2533
ブレゲ数字の植字インデックスを採用した、YG製 Ref.2533。Image Courtesy of Phillips.
よりスポーティな時刻表示のみのオプションとして提供されていたため、多くの例で夜光針と夜光インデックスが採用されている。これはほかの多くのカラトラバにはないディテールだ。現在、2533(または2532)の優れた個体は2万ドル(日本円で約300万円)台半ばで取引されている。特に興味深いのは、ブレゲ数字を持つ2533が、2018年のフィリップスセールにて4万ドル(当時の相場で約445万円)以上で落札されたことである。
Ref.2525(1952年~1962年製造)
A Patek ref. 2525
A ref. 2525 in yellow gold. Image Courtesy of Christie's.
Ref.2525は、パテックが時刻表示のみのモデルを刷新した1952年に、Ref.2533とともに発表されたモデル。トレンドと永遠のスタイルを兼ね備えたデザインを提供するブランド力を、完璧に表したものだ。96のシンプルさとは対照的に、ステップケース、フルーテッドラグ、先細りしたインデックスなど、ここでの外観は非常に1950年代的だ。
直径36mmのウェンガー製ケースは、ディーラー、コレクター、オークションハウスなどから、“この時代としては特大だ”と定期的に言われているが、これは本当だ。まだカラトラバが手で巻かれている時代で、Ref.2525はパテックのCal.10-200と、末期頃にはCal.12-400の、異なるムーヴメントを搭載していた。このカラトラバは2533のような“スポーツ”オプションとして販売はなかったが、ねじ込み式のケースバックを特徴としている。
A Patek ref. 2525
ギュブランのサインが文字盤に入った、ホワイトゴールド製 Ref.2525。Image: courtesy of Phillips
私の考えでは、2525は“カラトラバプラス”の典型である。本質的にカラトラバはシンプルな時計であるが、パテックは我々が期待する基本的なデザインを維持しつつ、美観的に興味深い時計にするべく、適度に遊びを加える方法を定期的に行っているようだ。コンディションのいい“ノーマル”のRef.2525は、2万ドル(日本円で約300万円)台前半から半ばで見つけられると期待できるが、WG製ケースに、ダイヤルにギュブランのサインが入ったような“スペシャル”な個体だと、2019年のオークション結果がそうだったように、10万ドル(当時の相場で約1090万円)以上で取引される可能性がある。
Ref.2455(1952年~1962年製造)
A Patek reference 2455
文字盤にカルティエのサインが入ったRef.2455。Image: courtesy of Phillips
“カラトラバプラス”のテーマを忠実に踏襲したRef.2455は、不要なフルーティング(ラグ)よりもクリーンで直線的なラインを好む人のための、1950年代的デザインである。ケースの直径は34mmとスタンダードだが、大きく誇らしげなステップベゼルは、視覚的に時計を大きく見せる効果がある。文字盤は通常、ケースにマッチしたアプライドインデックスと、12時位置のダブルインデックスが配されている。
このラグのシャープで角ばった性質を考えると、製造されてから今に至るまで、不適切な研磨や再仕上げなどの犠牲になっていないケースを持つRef.2455を見つけることが重要だ。腕時計を手首に巻いたとき、その魅力の多くはすっきりとした長いラグのラインに集約されているため、そこが研磨の際に丸められてしまうと、2455は一気に平らになってしまう。素晴らしい状態を保った例は2万ドル(日本円で約300万円)前後で手に入るが、来月フィリップスで出品されるカルティエのサイン入りRef.2455だけ、その数字をあっという間に超えてしまうと私は予想している。