金魚一道 Uのらんちゅう仔引き計画

ほとんどらんちゅうの仔引き経験がない 金魚一道 U による 冬眠明けから品評会エントリーまでの戦いの記録。

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タグ・ホイヤー カレラの新作でクラシックな要素を多く取り入れた時計を完成させた。

この度ブランドは、18Kイエローゴールドにゴールドの文字盤を組み合わせたタグ・ホイヤー カレラの新作でクラシックな要素を多く取り入れた時計を完成させた。

TAG Heuer Carrera Gold watch
39mmの“グラスボックス”カレラがベースで、これはベゼルのタキメーターを強調する形状の風防により、手首の様々な角度から時刻を読み取ることができる。自動巻きCal.TH20-00が13.9mm厚のケースに収まり、3時位置に30分積算計、9時位置に12時間積算計、文字盤の6時位置に(残念ながら)日付表示とスモールセコンドを備えている。しかし私にとって、この日付をいつものように間違いとして片付けるのは、そう簡単ではない。繰り返しになるが、タグ・ホイヤースーパーコピーこれについては後ほどお伝えする。まずは事実だけに集中しよう。

TAG Heuer Carrera Gold watch
ゴールドでできたラグからラグまでのサイズは46mm。このケースの特徴は、ポリッシュ仕上げとサテン仕上げがミックスされ、それらがサテン仕上げの文字盤とマッチしていることだ。この時計は昔ながらのパンチングストラップがセットになっているが、きっとそれはあなたが求めているものではないだろう。11月に269万5000円(税込)で発売されるとなると、それなりの金額を支払う必要がある。では、その価値があるかどうか考えてみよう。

TAG Heuer Carrera Gold watch
我々の考え
私の好みを批判しないで欲しいのだが、無名で希少なホイヤー(私が買うことはできないだろうが)を探そうと決心したとき、Ref.1158 カレラほど入手困難な時計はない。ゴールドが1960年代後半から1970年代の素晴らしいケースシェイプを際立たせているのだ。さらにブラックレジスターとゴールドダイヤルを備えた、“ゴールデンパンダ” 1158 CHNともなれば…古くにある黄金に魅せられているのだ。もちろん、これらの時計に関する明確な記事が知りたいのであれば、ジェフ・スタイン(Jeff Stein)氏のOn the Dashを読んでみて欲しい。

TAG Heuer Carrera Gold watch
ジョン・ゴールドバーガー(John Goldberger)氏による『Time to Race II』に掲載された、オリジナルの1158CHNとともに。

タグ・ホイヤーは昨年、1158 CHNの完璧な現代的復刻版に少し近づいた。まず金色のインダイヤルが付いたブラック文字盤が登場した(そのとき“ああ、やればできるじゃないか、タグ”と言った)。その後、ブラックの見返しリングに赤のアクセントを施したウェス・ラング版が続いた。そこに日付の表示はなかった。通常であれば好ましい点だ。ただ、私はラングの作品を愛しているが、それにしても文字盤のロゴがあまりにも大振りでこれなら“グラスボックス”で見たかったと思った。まあ、ここでは欲しいものが正確には出てこなかったが、この時計が本当に欲しくなるくらいには(オリジナルに)近づいたと思う。

すべての違いを分析するつもりはない(多すぎるため)。スタイン氏の時計と記事を比較すれば、大いに役立つだろう。グラスボックスの使い方は素晴らしいが、3つ目のレジスターは少し不必要に思える。オリジナルがツーレジスターで生き残ることができたのなら、これでもできたはずだ。あの下にあるスモールセコンドは、そうでなければ完璧に近い出来を悪くしている。そう、この場合、私は歴史的に正確であればあるほど好感を持つので、日付窓があるのはいいのだ。これをつけると思わず笑顔にならずにはいられなかった。

アップデートされたハイポリッシュラグも必ずしもオリジナルと一致しているわけではないが(現代的なファセットがすべて同じ形をしているわけでもない)、オリジナルを刷新するというアイデアは気に入っているし、ラグのサイドは依然として素晴らしいサテン仕上げの質感を保っている。サテン仕上げのダイヤルもヴィンテージのテイストに合っている。また今年発表されたコラムホイール式クロノグラフである、自動巻きCal.TH20-00を搭載しているのもいい。

いい面と悪い面の小さな違いをすべて考慮しても、モダンで素晴らしい金無垢カレラを待ち望んでいた人は、もうこれで待つ時間は終わりだ。

基本情報
ブランド: タグ・ホイヤー(TAG Heuer)
モデル名: カレラ クロノグラフ(Carrera Chronograph)
型番: CBS2240.FC8319

直径: 39mm
厚さ: 13.9mm
ケース素材: 18Kイエローゴールド
文字盤: 18K3NYG(縦型サテン仕上げ)
インデックス: アプライド。3時位置にブラックの“アズーレ”ミニッツクロノグラフカウンター、18K3NYG製針。6時位置に18K3NYGメッキ、ブラックラッカー仕上げのスモールセコンド。9時位置にブラックの“アズーレ”アワークロノグラフカウンター、18K3NYG製針
夜光: あり、時分針にスーパールミノバ、インデックスの端にドットを配置
防水性能: 100m
ストラップ/ブレスレット: パンチング加工のブラックカーフスキンストラップ、サテン仕上げポリッシュ仕上げ18K 3NYG製ピンバックル(タグ・ホイヤーの盾ロゴ付き)

Carrera Buckle
ムーブメント情報
キャリバー: TH20-00 オートマティック
機能: 時・分表示、スモールセコンド、日付表示、クロノグラフ
パワーリザーブ: 約80時間
巻き上げ方式: 自動巻き
振動数: 2万8800振動/時
石数: 33

価格 & 発売時期
価格: 269万5000円(税込)

  • 2008年07月16日(水)20時07分

時計のムーブメントが、なぜキャリバーと呼ばれるようになったのか?

“キャリバー”という単語にはさまざまな意味があるが、時計製造においては“ムーブメント”と同義語である。ムーブメントを“キャリバーXYZ123”などと称して呼ぶことは、時計業界全体で一貫した、きわめて普遍的な慣習となっている。これは何度も目にする言葉のひとつだが、銃器の世界とウォッチメイキングの世界の両方で使用されていることを不思議と疑問に思ったことはないと思う。

50口径(左端)から22口径(右端)まで、さまざまなサイズの弾丸。

もしかしたら、銃器におけるこの用語の用法をまだご存じない人がいるかもしれない。説明しておくと、基本的には弾丸の直径、またはある直径の弾丸を発射するために使用される銃器の銃身内径を指すのに使用される。例えば、50口径の弾丸の直径は0.5インチである(メートル法でも記すことができ、スーパーコピー時計 代引き一般的なNATO弾は5.56mmと表記される。“キャリバー”を使用するのは、私が知る範囲では英数字と組み合わせた際に限られるようだ)。

銃の世界における“キャリバー”の語源は、フランス語のcalibreからルネサンス後期のアラビア語であるqalib(弾丸を鋳造するための型)をたどり、古代ギリシャ語のkalapousこと靴職人のラスト(靴を製作する際の木型のこと)まで遡る。

興味深いことに高級時計財団(FHH)によると、この言葉が時計用語として使われたのは、フランスで活躍したイギリスの時計職人ヘンリー・サリー(1680-1729)の作品において「……1715年ごろ、さまざまなムーブメントの受け、歯車、香箱などの配置や寸法を示すために使われた」のが初めてだという。時代が進むにつれ、この言葉は「ムーブメントの形状、ブリッジ、時計の製造元、メーカー名などを示す」ために使われるようになった。そして次第に、ムーブメントそのものを指すようになっていった(IWCの“ジョーンズ・キャリバー”などがまさにそうだろう)。つまり、ウォッチメイキングと銃器産業の両方において、直径を表す言葉として使われてきた歴史があるということだ。そして、どちらの場合にも、その直径が規定されたものを指すようになったということである(おそらくメトニミー、つまり換喩的に)。

IWCの初期型D. H. クレイグ “ジョーンズ・キャリバー”。

現在では、ムーブメントを“キャリバーxyz123”(つまり、“キャリバー”の後にETAキャリバー2892-A2のようにムーブメントの型番を付ける)と呼ぶのが一般的だ。おもしろいことに、“キャリバー”という言葉はその歴史の大部分においてある特定の立場の人物をも意味し、その用法は今日でも生きている。たとえば、小説版『ゴッドファーザー(原題:The Godfather)』では、ドンの甥であるジョニー・フォンタンが映画プロデューサーのジャック・ウォルツを“本当に90口径のペッツォノヴァンテ(大物)みたいだ”と称している。

フランス語圏の時計業界では当時、ムーブメントをキャリバーと呼び、その後にムーブメントの直径、そしてしばしばムーブメントの特殊な機能を示す略称を付けるのが一般的なやり方であった。例えば、ジャガー・ルクルトの1877年(当時はマニュファクチュール・ルクルト・ボルゴー&シー)のアーカイブには、製造されたムーブメントのひとつとしてキャリバー16Tが記載されている。このことから、このムーブメントが16リーニュのトゥールビヨンであったことがわかる。

ちなみに1リーニュは2.2558291mm(16リーニュのムーブメントは直径約36.09mm)に相当する。リーニュは現在でもウォッチメイキングにおける計測単位として用いられており、また奇妙なことに、ボタン製造や男性用帽子のバンドに使われるリボンの計測にも1/12 プス(pouce、フランスでのインチ表記)が使用されている。

1800年代中ごろにマサチューセッツ州ウォルサムにあったアメリカン・ウォッチ・カンパニーを描いたリトグラフ。

ウォッチメイキングと銃器産業のつながりはこれだけではない。アメリカでは、いわゆるアメリカン・システム(19世紀前半のアメリカ合衆国の政策で重要な役割を果たした重商主義的経済計画)による精密な大量生産方式と機械製造が世界で初めて採用され、部品交換が可能な時計ムーブメントの作成が可能になった。このシステムは、マサチューセッツ州スプリングフィールドの連邦兵器工場で小銃の大量生産に使われていた製法を、ウォルサムのようなアメリカのメーカーが時計製造に応用したものである。

ルイ・ウェストファレンは、第2次世界大戦までの数年間とそれ以降、類似または同一の直径を持つ異なるムーブメントの数が増加するにつれて、ムーブメントの直径と機能を用いたムーブメントの呼称から移行する傾向が見られたと述べている。しかし、第1次世界大戦以前においても、この命名規則が普遍的なものであったわけではなかった。バルジュー 22はその一例である。しかし、その慣習はまだあちこちで息づいていて、たとえばパテック フィリップのカタログにはキャリバー17’'' LEP PS IRMが掲載されている。このムーブメントは17リーニュで、レピーヌで、プチセコンドで、インジケーション レゼルヴ ド マルシュで……、すなわち、直径38.35mmのレピーヌキャリバー(輪列用のブリッジを備え、フュゼを持たないムーブメント。18世紀後半にこの構造を開発した時計師ジャン=アントワーヌ・ルピーヌにちなんで名付けられた)であり、スモールセコンドとパワーリザーブインジケーターを備えているということがわかるのだ。

  • 2008年07月15日(火)20時00分

時計ツウのための時計ブランドであり、時計に精通した人がいちばん欲しがるブランドなのだ。

業界は進化し、拡大していく。私のように熱心な時計愛好家の周りにいる人たちにも、このブランドはますます身近なものになっている。この盛り上がりは、パンデミックの最中に時計への関心が再び高まったことと、マニュファクチュールのパテック フィリップとオーデマ ピゲが入手できなくなったことによるものであることは間違いない。私が考えるに、この関心の高まりは当然のことである。我らがベンジャミン・クライマーによれば、ランゲは地球上で最も優れた時計を連続して製造しているとのこと。大胆な発言だね、ボス!

Zeitwerk caseback
ランゲ ツァイトヴェルク 142.031の素晴らしいケースバック。Photo: Mark Kauzlarich

この1年間、彼がランゲについて繰り返し絶賛しているのを耳にしたので、この騒動は何なのか、その正体を突き止める必要があった。ランゲは本当にドイツのパテックなのか? なぜ男性たちは、今年のWatches & Wondersで自身の生活がかかっているかのようにオデュッセウス・クロノグラフに注目していたのか? なぜランゲ1は貴重な工芸品のように語られるのか? なぜ1994年10月24日は、マヤ暦の日付と同じように時計のイルミナティの日付になっているのか?

私が時計の世界に足を踏み入れて以来、ロレックススーパーコピーn級品 代引きランゲブランドの上っ面をなでたら、カルト教団に恩を売ることになるだろうという考えに少々敏感になっていた。なぜならデザイン性に優れ、普通の男性には手の届かないものが好きだからだ。たとえ私自身が普通の女性であっても。エリート主義は私の常套手段なんだ。

ランゲは先月、ロードアイランド州で開催されたオードレイン・ニューポート コンクール・オブ・エレガンス 2023にメインパートナーとして初参加した。そこには180台のクラシックカーが展示されていたが、そのクルマたちはそのオーナーと同様、ランゲの存在すらまったく知らなかった。私が夢見る高級時計ブランドCMO(最高マーケティング責任者)による、お金と機械に対する理解を。

そこで私は使い捨てカメラ4台(残念ながらライカを持っていないのだ。ショック!)、コンクールの参加者に必要な10種類のドレスコードに対応できるだけの衣装を詰めた非常に大きなスーツケース、そして結局週末はずっと雨が降っていたので、大きな灰色のランゲブランドの傘を持ってニューポートに向かった。私のローンパーティカクテルルックが台無しだ。

使い捨てカメラで撮影!

私はリシュモンキングである宝石(ランゲ)をもっと理解する必要があったし、そのためには私の内なるジェーン・グドール(Jane Goodall)にチャンネルを合わせて、(単なる愛好家ではない)ランゲコレクターについて知る必要があった。私はクルマのことについて何も知らないので、理論的には純粋で何にも捉われず、時計に集中できた。もちろん、1966年製のリンカーン・コンチネンタル・レーマン・ピーターソンの白いリムジンに乗って、向かいのポルシェ912を運転する男と曇った窓越しに心を通わせた、オードレイン・ツアー・デレガンスのあとにね。

使い捨てカメラで時計の写真を撮るのはかなり難しい。でもこれでいい!

私は自分の気持ちと向き合った。24時間が経過したあと、私はすでにランゲのクールエイドを飲んでいた。私は壁のハエになってこっそりと観察していたかったのに、彼らに洗脳されてしまった。どうしてそんなことができたのか? それに答えるには、さらにいくつかの質問をする必要があった。

ビリオネア(そして素晴らしいことにミリオネアも)のためのおとなしい時計ブランドを、私のような“部外者”に関心を持ってもらうにはどうしたらいいのか? 13年間経営に携わってきたブランドCEOのウィルヘルム・シュミット(Wilhelm Schmid)氏に直接話を聞いた。彼はシャープでぴったりフィットするスポーツジャケットの上に、チョコレートブラウンのカシミアセーターを羽織っていた。A.ランゲ&ゾーネを愛用しているとしか思えないタイプの男性だった。

「時計は、その人の趣味や個性を表現するものです」とシュミット氏。「自分の個性を高めたり、引き立ててくれると思ってブランドを買う人もいます。また、実際の商品そのもののために購入する人もいます。そういう方たちは、つけたら周りがどう思うかなんて、あんまり気にしていないんです」。彼はランゲが後者の枠組みのなかに非常に多く存在していると考えている。「そのため、ブランド認知度には重点を置いていないのです」

では、製品とサヴォアフェール、この場合はハンドヴェルクスクンストがすべてであるなら、現代の用語では職人技(craftsmanship)が汚い言葉として認識されそうになっている層に、このメッセージを一体どのように伝えるのだろう? これについて説明しよう。ミレニアル世代は、周到にマーケティングされたクラフトビール、食品、アート、ジュエリーなどを通じて、本物を追求するという考え方にうんざりしている。ただ私たちは疲れきっていて、職人的な疲労も感じているのだ。これは本当に残念なことである。なぜなら真の職人技とは保護される必要があり、Etsyショップのオーナーに利用・悪用されたりするものではないからだ。

しかし、ランゲは本物の職人技という考えを伝えるために努力する必要はない。それがそもそも本物だからだ。すべてが手作業で仕上げられ、手作業で組み立てられている。実際、時計は2回も組み立てられている。ムーブメントが完成したあと、テスト工程を経てそれが成功したら、分解し、洗浄、装飾、再組み立て、再テストと同じ工程を経て、すべてが技術的にも美的にも優れていることを確認する。1本の時計に対して、多くの人手を要する骨の折れる仕事である。

アンソニー・デ・ハス(Anthony de Haas)氏にも会った。彼はランゲの製品開発ディレクターで、私が時計業界で最近最も気に入っている人物かもしれない。彼はオランダ人でドラムを演奏しているから(彼は合計17個のスネアドラムを所有しており、どうしてもキャラクター全体を勉強したい場合は、首に黄色と金色のドラムチャームを巻いているとだけ言っておこう)。デ・ハス氏はグローネフェルド兄弟とともにスクールに通っていた同級生で、その後ルノー・エ・パピ(Renaud and Papi)で一緒に働いていた。クライマーによると、90年代のランゲの聖杯ともいえる“プール・ル・メリット” トゥールビヨンは、実際にはオーデマ ピゲ・ルノー エ パピ(APRP)製で、グローネフェルド兄弟自身が部分的にデザインしたものであり、その事実を考えると世間はかなり狭い。1周して元の場所に収まった瞬間だ。

PLM Tourb watch
トゥールビヨン “プール・ル・メリット”(1994年)。

PLM Tourb watch caseback
デ・ハス氏が指揮を執るグラスヒュッテにて、ランゲは現行コレクション全体で約35のムーブメントを搭載し、年間5500本の時計を製造している。マニュファクチュールには合計600人のフルタイム従業員がいる。

ランゲは非常にドイツ的なDNAを持つストイックなブランドである。しかしブランドの視覚的なインパクト、特にケースバックの後ろから見えるものは、どこか遊び心がある。ひとつひとつ手作業でエングレービングを施したテンプ受けや、トリプル・スプリットの複雑さと面取りを見ればわかるだろう。エントリーモデルであろうとツァイトヴェルクであろうと、細部のレベル、フォントに至るまで、仕上げの品質に異議を唱えることは不可能だ。ランゲは時計製造の最高峰に位置し、それは工業化されたプロセスとは真逆である。ゴルフGTIとロールス・ロイスを比較しているようだ。

サクソニアの領域以外では、ランゲは私の好みからするといつも少し...なんと言えばいいのか、分厚いというかパックみたいだ。しかしそこがミソだ。これらの時計の技術的な面に関しては、エレガントさや洗練の名の下にも一切妥協はない。「それがドイツ人なのです。私たちはエンジニアであり、物事がうまくいくことを望んでいます」とシュミット氏は述べた。その結果、より複雑なタイムピースは着用できないほど頑丈に感じられることもある。

忘れてはならないのは、フィリップ・デュフォー(Philippe Dufour)氏自身がしばしば「ランゲは仕上げや精密さのいずれの面においても手を抜くことなく、ムーブメントを正しく仕上げるという時間のかかる技術に真摯に打ち込んでいるマニュファクチュールであり続けている」 と公言していることだ。

Dufour Datograph
フィリップ・デュフォー氏が着用していた“デュフォグラフ”。

実はこの週末まで、ドイツの時計製造に対して理不尽な偏見を持っていた。それは何の理由もなく、“スイスか、それ以外か”という態度を取っていたからだ。これはおそらく純粋な習慣によるものだったのだろう。私が(時計に対して)音痴であることも認める。今後、私はオープンマインドでいるつもりだ。プラダやボッテガ・ヴェネタがサンローランやシャネルと同じくらい重要であることを皆が知っているのに、パリを愛し、ミラノを認めない私の偏見と同じように感じられる。

さらにランゲのユニークな点は、世界の市場に合わせてデザインを一切変えないことである。彼らの6つのウォッチファミリーは、世界中どの国に住んでいても同じだ。これは顧客とブランドについて多くを物語っている。「そして多くのブランドは、あらゆることを少しずつやろうとするためにアイデンティティを失い、非常に希薄になっていくのです。私たちは中国語やアラビア語の数字は絶対に使いませんし、絶対にグリーンダイヤルのモデルを作らないでしょう。これ以外にも私たちが手を出さないことはたくさんあります」とシュミット氏。ランゲを買う理由は、ムーブメント、仕上げ、すっきりとしたエレガントなデザインにある。パテックはこれと異なり、(ほとんどの)人々は文字盤に書かれていることを理由に購入する。(この件について)どうか私にコメントをしないで。それが事実であることは知っているだろう?

ディナーのときにはサクソニア・オートマティックを試着したが、ローズゴールドとランゲのピクシーダスト(麻薬)でできた完璧な円を描くおもりを持っているように感じた。すべすべしていて重量があり、貴重品が元来持つ感触だったし、高価に見えた。もしあの時計を身につけていれば、自分のすべての罪が許され、ランゲのような(高級)時計づくりのピュリストになれたかもしれない。さらに1815 アニュアルカレンダーも試着して、これは私が今まで巻いてきたなかで最もユニセックスな時計かもしれないと思った。エレガントで洗練された、まさにザ・ロウやロロ・ピアーナ(今トリガーを引いているのはわかっている)。何にでも合うし、豊かに見えるタイプの時計だ。

Lange Saxonia
夢のようなサクソニア。

Lange 1815 Annual Cal
1815 アニュアルカレンダー。これも夢を見ているようだ。

ユビキタスとは素晴らしいものが死ぬということだ。幸いなことに、A.ランゲ&ゾーネは“知る人ぞ知る”ブランドであり続けている。ロロ・ピアーナのように、富裕層による目立たないステータスシンボルから、ネットトレンドとして話題を集めるほど変身することはない。しかし今、私は完全にランゲに染まった。サクソニアさえ持っていないが、時計熱は頂点に達している。自分の世界から次に進むとして、またもしそれが自分のものだとしたら、ネイビーブルーのマーガレット・ハウエルのセーターを着て、『インテリアの世界』で取り上げられた巨大なキッチンとコンクリートだらけの改造された学校の寮に住むだろう。ふたりの乳母がいて、ポルシェのカイエンに乗って、エルメスのバッグしか身につけない。でもそれは私の世界でも人生でもないので、とりあえずポルシェ912に乗っている男性にキスをすることにしておこう。

  • 2008年07月11日(金)00時04分